「レッドファルクス誕生秘話(前編)」

(C) KOTOBUKIYA

「紅のレイファルクスって超格好いいのではないだろうか?」

 事の発端は、このくらいの妄想だったのです。

 時はちょっと昔、2017年11月。キャラクターやツールなどといったアイテムをホビージャパン・ポストホビーの商品として開発を行なうチームとして発足することになったわけですが、なにしろまだまだ生まれたての開発部に、何から手をつけたものか…という開発のイロハも知らない初心者開発マンひとり。まずはなにができるのか? から考え始める必要がありました。なので、拙いアイデアをいくつかまとめることになったわけですが、はっきり言ってしまうと「開発の世界」というのはそれほど甘くなく、ある程度の期間で一定の実績を求められるのも「仕事」ですから、あまりのんびり構えていることもできません。その限られた時間と手段の中で模索するしかない厳しい時期でした…(遠い目)。

 とはいえ、現実のほかにも多少は夢を見ないあまりにも哀しい…ということで、そのひとつが上記の「紅いレイファルクス」だったのです。

 あらためて説明すると、『フレームアームズ』は(株)壽屋様が展開しているオリジナルロボットメカニックプラモデルシリーズのことです。「フレームアーキテクトTYPE001」と呼ばれる共通素体(フレーム)に、外装(アーマー)および武装を装着することによってさまざまなデザインのロボットを立体化するもので、比較的簡易に組み上げることができ、共通機構が用いられた外装の交換による組み合わせにより、無限のバリエーションを作ることができる、プレイバリューの高いプラモデルシリーズであります。もちろん担当(0)も大好きであります。初期の作品では現用兵器を思わせるリアリティあるデザインのものが多いのですが、中期からは流線型のデザインやヒーローロボット的なデザインなど個性的かつ多彩なものが出揃い、その点数はレギュラーアイテムですでに40点、流通限定アイテムを含めると50点近くに及ぶほどの一大オリジナルプラキットシリーズとして成長を遂げています。ただでさえオリジナルコンテンツを成立させるのが難しいことに加えて、それを50越えるラインナップを成立させるのがどれだけ難しいか…素人考えでもこれが「凄いこと」なのが分かるはずです。

 その『フレームアームズ』のスピンオフシリーズとして発売されているプラモデル『フレームアームズ・ガール』シリーズに対応する、水転写式瞳デカールセットの企画を壽屋様の『フレームアームズ』および『フレームアームズ・ガール』担当の方々に提案することになったわけですが(この経緯はHJモデラーズブログの第4回と第5回をご覧くださいませ)、このとき「フレームアームズの限定キットってできたりします…かね?」とさりげなく聞いたところ「不可能ではない」というお返事をいただきました。この件はまたあらためて後日…となったため、より確実に実現するためにはどうしたらいいか…と考えを進めていくことにします。「勝利の法則」ってやつですね。

 まず、考えの根本としてレイファルクスがあったわけですが、どうもこの機体は設定上1機しか存在しない模様。それはそれでありですが、可能ならば『フレームアームズ』世界観に現存する可能性を残したい…というわけで、その派生キットである「LX-R01J ヤクトファルクス」に着目しました。

 レイファルクスのレプリカ機という設定上、そのバリエーションとしての存在が可能なのではなかろうか? なにより蒼と紅のヤクトファルクスが並ぶと超格好いい気がする! …との素人考えでしたが…。

 あとはプレゼンテーションの仕方も普通では駄目ではなかろうか? なにか方策は…悩みましたが…その結論は…

「そうだ。作例を作ろう。」

                                    (つづく)

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