(C) KOTOBUKIYA
「そうだ。作例を作ろう。」
「紅いヤクトファルクスの限定キット化」を実現するためのプレゼンテーション用に、自前でヤクトファルクスのキットを用意し、パーツを磨き続ける日々が始まりました。たとえ企画が成立しなくとも作例は手元に残ります。幸いなことにヤクトファルクスはそのバリエーション元である「LX-00 レイファルクス」を個人的に製作していたこともあり(なにしろ担当的にはどストライクのデザインでしたので)、製作自体に難点はなかったのですが、クリアーパーツで再現されているTCラミネートシェル(ベリルアーマー)の数がかなり多くゲート処理にはけっこうな時間がかかっています。そして勘のいい方ならばお分かりの通り、このクリアーパーツ部分はヤクトファルクスではクリアーブルーで再現されています。そのままではクリアーオレンジにするのは当然不可能。このため、コトブキヤショップ予約特典の無色クリアーのパーツ(またしても自前)を使用して、塗装で再現しています。
カラーリングはもちろん紅。これはホビージャパンのロゴの色から引用されたもので、コーポレートイメージカラー! と思っているもの(余談ですが公式外伝企画で主役機が紅いのは大体“このため”)です。この紅とクリアーパーツはオレンジと想定したため、必然的にポイントとなるヤクトファルクスでシルバーとなっている部分と武装関係はクール系のホワイトとしています。これはレイファルクスの本体の白とほぼ同色です。フレーム色はヤクトファルクスよりも茶系を強めた色味のライトブラウングレーとでも呼ぶべき配色になっています。このあたりの配色は個人的に「ホビージャパンカラー」と呼んでいるもので、あまり悩まなかった…というよりはカラーコーディネイトの根幹にあるものであり必然であった、と言えるかもしれません。
さて、ここまで出来た段階でコトブキヤ様にプレゼンすべくお伺いに。で開口一番が「これを限定キット化したいのです」。さすがに突然だったことと「完成見本が最初にある企画は過去に例がないですね…」と苦笑いされながらもインパクトはなかなかだったようで、企画自体は「やりましょう」ということになりました。この時点で勢いに乗って可能ならば新規パーツがあったほうが嬉しい、絶対に。ということで、お聞きしたところ…ここで風雲急。「ところで(0)さん、それはいつまでに用意できますか?」と。打ち合わせをした時点ではスケジュールがかなり過密で、××日までに原型がないと企画として成立しない、とのこと。こちらもお願いする側として、さすがに引き下がるわけにはいきません。
「やります。」
新規パーツはやはり格好よくしたい。しかし時間の関係上、やはり意思疎通のしやすい(できれば模型的好みも)ということで、その方向性を模索するために連絡したのはセイラマスオ氏。独自のメソッドに基づく工作&ディテーリングは“マスオディテール”と綽名されるほどです。もとよりマスオさんは『フレームアームズ』の大ファンであったこともあり、あっさり「やります!」と企画に乗っていただけた、というわけです。
こちらから提案したのは「ポイントを抑えた変更で別機体に見えるようにする」というもの。そうするとまず、新規パーツの最有力候補は頭部とおよび胸部となります。まずは最優先として取り掛かったのは頭部。といっても頭部と胸部はデザインとしては連動する要素が強いものなので、まずマスオさんからの「各部にブレード状のアンテナを増やしてみるというのは?」とのアイデアを元に、イメージを作成します。
これをマスオさんの元に郵送して意見交換。「額はもっとユニットの形状にメリハリを出して、左右のアンテナはL字状に折れ曲がった感じがいいかと。胸部はいい感じですね」となり、まず額パーツをプラ材の積層で製作製作。これと平行してマスオさんが胸部の形状出しを進めて時間のクリアランスを確保しています。
額パーツができた段階でマスオさんに額パーツを郵送。胸部とあわせてディテーリングを進めてもらいます。このあいだに担当はコトブキヤ様とほかのパーツが入れられるかどうかを相談。「大きなパーツは難しいですが、アクセサリー系ならパーツ数次第で入るかもしれません」との回答をいただき、マスオさんに相談したところ「各部ハードポイントに装着できるフィン状のパーツはどうでしょう?」との言。胸部フィンとデザインの共通性を持たせる方向性で進めることとなりました。この段階で表面仕上げをこちらで進めるため、頭部と胸部パーツをこちらに郵送してもらい、到着した頭部パーツがこちら。
どこから見てもマスオディテールのアンテナパーツです(笑顔)。
あとはこのディテールを殺さずにパーツをしっかり磨き上げるのが担当の仕事。そのあいだにマスオさんには腕部に装着想定の増加パーツを進めていただきます。
タイムリミットまで、あと××日。
(つづく)