冷戦の初期段階において、アメリカ空軍の戦略航空軍団(SAC)には、ソビエト連邦上空まで核兵器を運ぶことや、爆撃機による直接攻撃が指示される可能性がありました。
現在のようにスタンド・オフ・ミサイルなどが無い当時は、戦略爆撃機が敵地上空まで侵入しなければならず、飛行中に撃墜される危険性がありました。
そこで空軍は乗組員向けに緊急用の軽量サイドアームの配備を急ぎました。
当時、巨大な爆撃機が重量級の爆弾を搭載することが前提の空軍においては、すべてのものに徹底した軽量化を求めていたため、空軍の出した要望は”超軽量“でした。
米空軍はコルトとS&Wの2社に開発を依頼し、試験的に両社の開発したモデルを約1200丁ずつ、合計2,400丁を発注しトライアルの目的も兼ね運用を開始しました。
この時にコルト社が製造した1,189挺が、その後の歴史に名を刻む“コルト・エアクルーマン“です。
コルト社は、当時の最新リボルバーであったコブラを基本に、バレルを除くすべての主要部品をアルミニウム合金で製造した超軽量モデルを開発しました。
ベースとなったコブラではすでに最新素材だったアルミニウム合金をフレームに採用した先進的なモデルでしたが、シリンダーを含む主要部品を鉄からアルミニウムに置き換えることは当時の銃業界にとっては大胆な一歩でした。
オールスチール製のディテクティブ・スペシャルの重量が約600gに対し、エアクルーマンの重量は312gと大幅な軽量化には成功したものの、アルミニウム合金製シリンダーとフレームの組み合わせは強度に不安が残ったため、空軍は安全性を考慮し、 .38splカートリッジと寸法互換のある“M41”と呼ばれる薬量を減らした特別な低圧カートリッジを採用しそれを専用弾薬としました。
コルト製エアクルーマンは、1950年から1952年にかけて製造され空軍へ納品されています。
トライアルの結果はS&Wが勝利し、1953年からはシリンダーをスチール製に戻すことを条件にS&W版量産エアクルーマンの納品が始まりましたが、プロトタイプにあたるコルト版もそのまま継続して使用されました。
しかしその後、通常の.38splカートリッジが装填できてしまう危険性が拭えないことから、空軍は最終的にはアルミ合金シリンダーを備えたコルト・エアクルーマンはリスクが大きすぎると判断し、1959年にほとんどが回収され破棄されることとなります。
それまでの常識や価値観を覆すエポックメイキングな銃として、知名度や歴史的な価値は非常に高いものの、破壊を免れ現存する個体は極めて少なく、今では博物館や一部のコレクターのみが所持する非常に貴重なコルト・リボルバーの1つとなっています。
今回、このコルト社製エアクルーマンを、耐久性、作動性を向上させた”R-model”仕様のモデルガンとして製作しました。
コルトメカを忠実に再現したために発生していたシリンダーロックアップ問題(トリガーの動きとシリンダーの回転とのタイミングが変化する症状)も、強固なプレス製とダイカストの2ピース構造に変更されたリバウンドレバーによって長期にわたり作動タイミングのズレを防止します。
エアクルーマン最大の特徴でもある、アメリカ空軍の紋章が入ったウォールナット製チェッカーグリップ(ウエイト入り)が標準装備されます。
この特別なグリップは、実物を完全再現するべく何度も試作を重ね製作した専用品となります。
フレーム背面には「Property of US Air Force」の文字と、グリップ底面に空軍管理番号、バレル側面には「Aircrewman」の刻印が入り、この銃が米空軍帰属であることを示します。
また、付属するカートリッジは実物でも採用された専用の低圧弾「M41」を再現したエアクルーマン専用カートリッジが付属されます。
(通常の.38 special 発火カートリッジもご使用いただけます)
東西冷戦が激化するなか、核技術や宇宙開発など、ライバルにあらゆる分野で負けられない超大国アメリカの意地と開拓精神が産み出した、偉大な失敗作でもあったコルト製エアクルーマン。
歴史的な背景も含め、ぜひこの銃の持つ魅力を感じ取って頂けたらと思います。
全長:175 mm
重量:515 g
装弾数:6 発
備考:
主要材質 HW樹脂(黒染め)+亜鉛ダイカスト+専用木製グリップ
使用カートリッジ M41&38スペシャル発火カートリッジ
M41発火カートリッジ 6発付属
7mmキャップ火薬使用発火式
フレームタイプ COLTロング・Dフレーム・ラウンドバット
種類:
形態:モデルガン
メーカー型番:4537212011143
▼商品登録日:2023年12月11日